Taizo Yamamoto匠プロジェクトをご訪問いただきありがとうございます。
このプロジェクトメンバーの一員としてプロデューサーを務める山久漆工の山本です。

日本の伝統工芸は、これまで「職人技」としては評価されている一方で「芸術性」としての価値は過小評価されているのが現状です。
この匠プロジェクトは、伝統工芸に限らず、日本の優れた技術の芸術としての価値を発信し、世界がその価値を正当に評価してくださることを目指した取組みです。それは、日本において伝統を大切に守り育んできた心と、古(いにしえ)より続き、現代へと発展した匠の技を集約した作品をつくり、「TAKUMI」として海外へ展開する活動でもあります。
匠の技とは、伝統工芸から現代の最新技術まで、日本のさまざまな業種、素材の優れた技術を対象とし、誰が見ても完成品を「一流品」と呼べる技のことだと考えます。

このプロジェクトの特徴は、地域を超え、匠と匠の技を掛け合わせることで世の中において唯一無二の最高の品をつくることです。そのために TAKUMIというブランド名のもとで参加者同士がオープンに協力し合いながらプロジェクトを推進していく。そこには、その想いに賛同する豊富な実績と経験を有するデザイナーや職人、製造企業が参加しています。数多くの職人の中でも、匠と称されるプロフェッショナルだからこそ、新たな課題と困難な技術にチャレンジしながら強い協力体制と絶妙なコーディネーションにより匠プロジェクトが動いています。
匠プロジェクトがまず取り組んだのがチェスセットポーカーテーブル。何故それらを選んだのかをお話しましょう。
まず、伝統工芸だけでも、最新ハイテク技術だけでも実現できない、さまざまな業種と素材、そして技術を集結させてはじめて可能となる作品であること。
そして世界中の愛好家の心に響き、評価していただける作品であることです。

チェスは世界でも最も愛好家が多いゲームで、欧米を中心に競技人口は5億人とも7億人とも言われています。富裕層の中でも人気が高く、チェスピースにこだわりをもつ人も少なくありません。今回の作品は、世界で高い評価を得ている漆芸・蒔絵(山久漆工、他)と金属切削技術(ヒロセ工業)の融合による究極の美が凝縮されています。チェスピースの形状は、デザイナーの鈴木尚和氏により日本の戦国時代の武将や姫、城、僧侶、騎馬、歩兵が表現され、その衣服や鎧などに美しい絵柄を加飾。チェスボードは「戦いの大海原」が表現されています。

一方、ポーカーは、世界共通ルール、老若男女や国籍を問わず社交的な知的ゲームとして多くのプレーヤーをもつ代表的なカードゲーム。北陸の伝統工芸(山久漆工、他)の技と現代家具の製造技術(マルイチセーリング、他)の融合により完成しました。全体設計は建築家、大塚孝博氏が行い、蓋の部分は日本独自の美として人気の高い琳派「紅白梅図屏風」をイメージ。漆黒にひろがる霧に映える梅を「夜霧の梅図」として表現。本体内側には4面を美しい蒔絵で日本の四季を表現し、ポーカーゲームを高貴なプレイに引き立ててくれています。

どうぞこれらの作品を写真そして動画でお楽しみいただき、日本の匠の技を改めて実感いただけましたら幸いです。